トップ >  夜景特集 >  ヘリから東京・横浜の夜景空撮テクニック
1/250、f4.0、ISO10000、24mm

究極の夜景撮影といえば空撮。夜景空撮では飛行機とヘリコプターからの撮影がありますが、東京や横浜を空撮撮影するには飛行機では高度が高すぎて、東京スカイツリーや横浜ランドマークタワーなどのインパクトがミニチュアのようになります。このような大都市の夜景を撮影するには、高度1300フィート(約400m)ほどを飛行できるヘリコプターでの空撮が最適でしょう。

今回はSpace Aviationの夜景ヘリコプターの開業前のテストフライトにて空撮してきましたので、夜景写真だけではなく、夜景空撮のノウハウなどを紹介していきます。

もくじ

東京&横浜コースの見どころを写真で紹介

テストフライトコース

ヘリポートは稲毛海浜公園にあり、東京駅から首都高速を利用して約1時間の場所にあります。飛行時間は約1時間であり、見どころの写真を掲載していきます。なお本記事はテストフライトでの撮影のため、実際のコースと一部異なる可能性もございますのでご留意ください。

まずは東京スカイツリー

1/320、f4.0、ISO10000、32mm

東京スカイツリーは高さ634mで、ヘリの高度は約400mなので、ほぼ展望台の高さでフライトしていることになります。東京スカイツリーまでの距離は撮影データをみると約1.7kmぐらいでした。

続いて東京タワー

1/320、f4.0、ISO6400、95mm

代々木駅上空からの撮影のため、東京タワーまで4.5kmほどあるため東京タワーは、やや迫力不足であるが、周辺にオフィスビルが乱立する様子が捉えられる意味では丁度良い距離感だろう。ちなみに「東京周遊コース」であれば、東京タワーを1周するコースとなります。

同じ場所から眼下を見下ろすと、

1/320、f4.0、ISO6400、34mm

国立競技場と明治神宮野球場。まるでジオラマをみているような世界。

続いて武蔵小杉。

1/250、f4.0、ISO6400、34mm

武蔵小杉にはタワーマンションが10棟以上あり、最高峰は高さ59階で197m。神奈川県ではみなとみらい地区と並ぶ、高層マンションが密集しているエリア。

最後は横浜みなとみらい地区。

1/250、f4.0、ISO6400、34mm

東京・横浜コースのフィナーレとなる「横浜みなとみらい」。横浜ランドマークタワー、観覧車「コスモクロック」、横浜ベイブリッジなど撮影ポイントが沢山あります。

空撮撮影で必要な機材とは

東京、横浜、千葉などの都心部での夜景撮影では光量が多いため、スマートフォンでも十分撮影できます。私のiPhone11という4世代前の機種でも動画での夜景撮影も問題ありませんでした。

ただ今回は高解像度の夜景空撮を目的としたため、ミラーレスで撮影をメインにして調査。撮影機材はSONY α7 IV。レンズはFE 24-105mm F4 G OSSを利用。あっという間に景色が変わっていく空撮では途中でレンズ交換はできないものと考え、ズームレンズを利用するのがよいでしょう。

ヘリの室内はコックピット計器の明かり以外はほぼなく、窓ガラスの映り込みはかなり少なく夜景鑑賞しやすい環境です。しかしながら本格的に夜景空撮するのであれば、映り込み対策は行いたいところ。

選択肢としては忍者レフがありますが、かなり大きいため空間が限られているヘリでは邪魔になり、かつ据わる場所によってはパイロットや計器に当たってしまうこともありますので避けた方がよいでしょう。そこで今回はJJC シリコンレンズフードを購入。

このような感じでかなりスマートな感じになります。なおスマートフォン撮影であれば、スマホ用の忍者レフがおすすめ。

ちなみに空撮では下方向を撮影することも多いですが、レンズを傾けたときにフードが垂れ下がることや、フードによるケラレなども気になるところ。そこで自宅で検証してみました。

JJC シリコンレンズフードを装着して、カメラを30度ほど傾けてみましたが、フードが垂れ下がることはなく、どのような角度でもフードが垂れ下がることはありませんでした。続いてケラレについて検証。

ケラレを確認するために壁の手前にJJC シリコンレンズフードを収納するプラスチックカバーを挟んで、斜め45度にレンズを傾けてライブビュー状態を確認。焦点距離は24mmに固定すると、左端にごく僅かにケラレがありますが、トリミングやレタッチでどうにでもなるレベル。正直このような極端な使い方でも、ほぼケラレないので安心して利用できると考えていいでしょう。

実際に空撮で800枚ほど撮影しましたが、明らかなケラレを確認できたのは数枚で、それもほんの僅かです。

夜景空撮でぶれないシャッター速度は1/320が安全値

空撮当時にはプロの空撮カメラマンが同乗されるとのことでしたので、シャッター速度について伺いました。ヘリコプターは時速200kmでありますが、被写体までの距離が1kmほどあるため、限界値は1/160であり1/320であれば余裕とのこと。

そのため私は1/320と1/250の2パタンを試しましたが、3,300万画素のSONY α7Ⅳで撮影した写真を等倍で確認しても、確かにどちらも撮影ブレはほぼありません。なおレンズFE 24-105mm F4 G OSS側でも手ぶれ補正をONにしています。

またヘリコプターの振動はそれほど大きくなく、体感レベルでは飛行機とさほど変わらない感じでした。

ミラーレス撮影ではAIノイズ除去は必須

スマホで撮影する場合は、自動的に見やすい明るさに調整されますが、ミラーレスや一眼レフでの撮影ではRAW撮影後にレタッチで調整する必要があります。

まずは横浜みなとみらいの空撮夜景撮影の無加工写真を掲載します。

【無加工】1/250、f4.0、ISO6400、34mm

1/320で撮影するために、ISOは10000や6400を利用。それでも無加工ではかなり暗い肝心になります。もちろんRAW撮影ですので、ここから調整をしていきます。

まずはAdobe Lightroomで露出をあげてみます。すると

さすがRAW撮影。かなり浮かび上がってきます。ただISO6400であるため、ノイズがひどいですね。そこでAIノイズ除去を利用してみると、、、

あ~ら不思議。ノイズがかなり軽減された写真に生まれ変わります。

ちなみに等倍でみてみると

観覧車やアニヴェルセル みなとみらい横浜はかなり自然な仕上がりですね。一方、

クイーンズスクエア付近はややノイズが目立つ部分もありますが、夜景空撮であることを考えれば十分なものではないでしょうか。

このようなノイズはISOが低いほど抑えられますので、α7ⅣであればISO6400、1/250が最適値。ブレの安全をみるのであれば1/320でしょう。(レンズにも手ぶれ補正が付いていることを考慮しての設置値です)

なお、SONYであれば高感度に強いとされるα7SⅢであれば、ベース感度が高感度側でISO12800のため、AIノイズ除去を利用しなくともノイズが少ない夜景撮影ができることでしょう。

遊覧ヘリ機体紹介

Eurocopter AS350

今回のテストフライトで東京・横浜を撮影した機体はEurocopter AS350(通称350)。6人乗りで比較的大きな機体。(特別にヘリの隣に愛車Audi A5を停車して撮影して通常は不可です。)

またSpace Aviationの東京夜景ヘリコプターは4人乗りの機体でロビンソンR44。4人乗りで遊覧ヘリでは一般的なサイズ。こちらでは千葉の夜景空撮させていただきました。

ロビンソンR44

ロビンソンR44から千葉の工場夜景を撮影。

ちなみにR44で空撮専門業者と同乗してたため、空撮業者側はドアなしでした。

安全のため全ての機材がロープで機体と繋がれ、動画撮影ではプロ用のスタビライザを利用されていました。私の席はもちろんドア有りですが、それでも迫力があり貴重な体験でした。

夜景空撮はいくらで体験できる?

Space Aviationの夜景ヘリコプターは2024年6月時点では6コースあります。一機で最大3名まで乗車できますので、3名集まれば料金表のひとりあたり1/3の料金となります。

東京&横浜コース60分150,000円/台
東京周遊コース45分120,000円/台
Wタワーコース
東京タワー、東京スカイツリー
33分88,000円/台
スカイツリーコース25分66,000円/台
幕張コース6分15,000円/台
千葉コース4分10,000円/台

このような料金体系になっています。私のお薦めは東京&横浜コース。15万円となかなか手が出しにくい金額ですが、これまで国内外2,800ヶ所の夜景を撮影してきた私が1時間感動しっぱなしの夜景。海外で夜景撮影しにいくことを思えばリーズナブルにも感じる内容です。

また空撮でうまく撮影できるか心配な場合は、まずは千葉コースでテスト撮影してみるのも良いでしょう。4分という短い時間ではありますが、初めての夜景フライトとしては感動間違いなし。

Space Aviation公式サイト