オーストリアの首都ウィーンでは、気軽に俯瞰系の夜景を楽しめるスポットが、実は存在しません。
ウィーンで地元の若者に人気の夜景スポットであるカーレンベルクは、バスで25分。ここで紹介するドナウタワーは地下鉄で最寄り駅まで向かえますが、タワーまでは徒歩15分。帰りは少し暗めの道を歩いて行く必要があります。
ちなみにドナウタワーは高さ252m。地上150mに屋外展望デッキがあります。さらに地上170mの地点には回転レストランもあります。展望デッキもレストランも24時まで営業しているので、日没時間が遅くなる時期にも夜景を楽しめます。
鉄格子で囲まれた屋外デッキは、開放感を遮るような感じではありますが、360度を見渡せる夜景は見事である。
まずは目に付くのが、最寄り駅近くにある国連事務局(国際連合ウィーン事務局 )や、ウィーンの5つ星ホテルにして220mの超高層ビルの「Melia Vienna(メリア ヴィエナ)」などの近代都市を感じさせる夜景である。
西側を見下ろせば、ドナウ川沿いに走行する高速道路のジャンクションが美しい。特にトワイライトタイムにはドナウ川の水面の反射が楽しめる。さらに目線をあげれば、カーレンベルクのある山の稜線を確認できる。
ウィーン郊外となる東側には目立った建造物はありませんが、街明かりが何処までも広がる。
眺める方向によって違った様子を見せるのがドナウタワーからの夜景の特徴である。カーレンベルクからの夜景も美しいが、私はドナウタワーのほうが好きだ。
室内の展望室は2ヶ所あり、全面ガラス張りの広いフロアと、回転レストランの更に上層階に東側と西側の2方向に窓が設けられたフロアがある。ただ、後者は窓が小さく夜景観賞や撮影には不向きである。
三脚の持ち込みは問題ない。ただ、室内からは窓ガラスにカメラを近づけて三脚を設置するのは難しく、さらに真下には突き出したように屋外デッキがあるため、下方向の視界が遮られる。そのため室内からは夜景撮影は厳しい。
屋外デッキでは、鉄格子により三脚のセッティングにはコツが必要である。また口径が大きいレンズだと、鉄格子とレンズが干渉してしまう。
私の愛用する「Carl Zeiss Distagon T* 2.8/25」は、鉄格子とギリギリ干渉しなかった。このレンズのフィルター径は58mmなので、この数値を参考にしてください。
地下鉄(U1)のKaisermühlen VIC駅から徒歩15分。駅からバスもあるが1時間1本であり、かつバス停からドナウタワーまで徒歩3分ほどあり、使い勝手が良くない。
そのため、必然的に徒歩でのアプローチとなる。日没前であれば、Kaisermühlen VIC駅からドナウ・パーク内を通過して、さほど迷うことなくアクセスできます。
問題は帰り。夜景鑑賞後だと夜になる。ドナウ・パーク内の一部区間(300m)は外灯がありません。しかし、私が訪問した時は22時頃ですが、懐中電灯があれば治安面の不安はありませんでした。女性二人組とすれ違ったぐらいです。とはいうものの、女性だけでドナウ・パークを夜間歩くことはお薦めできません。
なお、タクシーが待機するような場所ではありませんので、タクシーに待っていてもらわないと帰りは徒歩になります。また、日中にドナウ・パークを歩いておかなければ、夜間に暗闇のドナウ・パーク経由で駅に向かうルートは、間違いなく分からなりますのでご注意を。