>   >   >  デジタル化に踏み切った本当の理由
まとめ

年間約1,000枚の夜景撮影を行う私にとって、最大の悩みは、撮影後のポジフィルム管理です。

フィルムをカビから守るためには、保存ケースの湿度調整、および定期的なフィルムクリーニングを必要とします。さらに不測の事態に備え、フィルムスキャンを行い、デジタル化する必要があります。この2点の作業から開放されることが、デジタル一眼レフを利用する最大のメリットと考えています。


2006年執筆

まず、ここに宣言します!(笑)

夜景撮影においては、デジタル一眼レフユーザになった今でも、リバーサルフィルムをビューワーで眺めるものには敵わない。デジタルカメラ全盛期の今日では、「リバーサルフィルムって何?」という疑問から始まるかもしれませんが、特徴を一言で表すと・・・

リバーサルフィルムとは、もっと簡単に、もっとも美しい夜景撮影ができる魔法のフィルムです。



よくリバーサルフィルムは、ラチチュード(明暗差の許容量)が狭いため、ネガフィルムに比べて、適正な露出を求めないと、綺麗に撮影できないプロ用フィルムといわれていますが、夜景撮影においては、いとも簡単に感動的な夜景が撮影できてしまいます。

カメラの露出計がまともであれば、絞りをf5.6~f8程度にしておき、露出がEV 0、EV+1の2枚を撮影すれば、ほとんどの場合、どちらかが満足のいく写真になっています。ちなみにリバーサルフィルムを利用していたときのカメラは、Nikon F80sという8万円ぐらいの中級機の一眼レフカメラでした。

しかし、魔法のフィルムは「撮影→ビューワーでの鑑賞」までは最高なのですが、ホームページでの公開、そしてフィルムの管理という後処理に対しては、手間暇がかかります。

私は平均して年間50~70ヶ所の夜景取材を行います。もちろんホームページへの公開は、タイムリーに行いたいのですが、フィルムならではの手間のかかる作業が待ち受けているため、新規夜景スポットの追加は、年間3~4回ペースとなっています。

それでは、どのような作業に、どれぐらいの時間がかかるかを、フィルムとデジタルを比べてみますね。

フェーズ 銀塩カメラ デジタルカメラ
夜景撮影 どちらも違いはありませんが、デジタルカメラは撮影後にプレビューができるため、プレビューしていると撮影時間が長くなってしまいます。(慣れてくるとプレビューは利用しなくなるでしょう)

現像処理
1日~1ヶ月程度
フィルム1本を使い切ったあとに現像をおこなうためにこのような時間がかかってしまうことが多々あります。また、生活圏内に信頼できるDPEがない場合は、さらに時間がかかります。
不要

フィルムスキャン
1スポットあたり約10分
1スポットあたり3~20枚程度(平均して9枚程度でしょうか?)撮影を行い、そのうちスキャニングするのは1~4枚程度です。スキャン処理自体はプレビュー込みで30秒程度ですが、スキャンするフィルムの選定や、フィルムをフォルダーにセットしたりする時間を含めると、予想以上に時間を必要とします。
不要

埃の取り除き
1スポットあたり0~5分
まだ空が明るい時間帯に撮影した夜景は、フィルムについた細かな埃が目立ちます。これをレタッチソフトでひとつひとつ取り除いていきます。
不要

写真補正処理
1スポットあたり1~5分
どちらもさほど違いはありませんが、フィルムスキャンした画像は写真枠をトリミングする必要があります。

写真管理・保存
 エクセルにて撮影地・撮影日付・フォルダ番号を一元管理を行う。
 フィルム保存については、密閉できるプラスチィック製の大型BOXに、フィルムと一緒に、湿度を保つ調湿材を入れて保存。フィルムに適度な空気が入るように、フィルムフォルダーは立てて保管。
 また、フィルムにカビが発生しないように、適時フィルムを取り出し、水分をふき取り、ファイルケースを交換する必要がある。さらに万が一に備えてデジタルデータによる二重管理。
そのままデジタルデータで管理。万が一に備えてDVDディスクにバックアップを行う。



ざっとみると、なんだ大した差がないかと思われますが、1日5スポットペースで3日間の夜景取材を15スポットになります。これをデジタル化するためには、約4時間(※1)かかります。

※1 (10分+2分+3分)*15ヶ所=225分

しかし、デジタル化を行うためのこれらの作業工程は、リバーサルフィルムを楽しんでいるときには、それほど苦痛に感じていたわけなく、もしろフィルムの保存管理に困っていたいました。

さらに、2005年12月末に、夜景取材の現地で急にカメラが作動しなくなり、大変困りました。結局は電池切れという、なんとも情けない原因でしたが、もし電池切れでなく、カメラが故障して、撮影地が海外などであったら、膨大なロスとなります。

そんなときに、まず頭によぎったのが、「同じカメラ(銀塩一眼レフ)を購入するか? それともデジタル一眼レフを購入するか?」です。

2001年にニコンの最高級デジタル一眼レフ「Nikon D1」で夜景のテスト撮影をしたときに、シャッター速度が10秒以上になると、ショットノイズが発生したため、夜景撮影はやはり銀塩カメラだと確信していました。

しかし、「Nikon D1」でのテスト撮影から4年以上が経過したときには、夜景撮影でもノイズの心配は一切無く、さらにはフィルムスキャンを行ったときに発生する荒さ(粒状性)も気にしなくてよく、ついにデジタル化に踏み切りました。




最後に、私なりのデジタルカメラとフィルムカメラのメリット・デメリットをまとめます。

デジタルカメラのメリット
  • デジタルデータであるため、写真の長期保存が用意に行える。
  • ポータブルフォトストレージの利用により、撮影現地でのデータバックアップが行える。
  • 撮影後に映り具合を確認できる(慣れると利用しなくなるでしょう)
  • ISO感度を変更できるため、夜景撮影をISO100、パーティ撮影をISO400と使い分けられる。
デジタルカメラのデメリット
  • 撮影後の再生確認をしていると、撮影に時間がかかり、夜景鑑賞より撮影に集中してしまう。
  • 撮影後にプリント写真の選別を行うため、撮影→選別→現像と作業量がフィルムより増える。
  • デジタルカメラは黎明期であるため、新機種の発表や、ライバル機が気になる。
  • CANONの5D以外は、焦点距離が約1.5倍になり広角撮影が不利である(例:焦点距離35mm→約55mm)
フィルムカメラのメリット
  • 夜景撮影においてカメラ本体のスペックは一切問わない。レンズとフィルムのみが画質を左右します。
  • 現像する写真を選別ができないため、フィルムをDPEへ渡すだけでプリントできる。
  • 現像後のポジフィルムのコレクションは、デジタルデータのコレクションでは味わえない所有感がある。
フィルムカメラのデメリット
  • 現像後のフィルム管理を長期保存するためには、防湿対策など定期的なメンテナンスが必要。
  • バックアップ時にはフィルムスキャンが必要であり、1枚あたり最低10分以上の作業が必要。
  • 薄暮の時間帯に撮影した夜景の場合、フィルムスキャン後、ざらつきが目立ちやすくなる。
  • フィルムの途中交換ができないため、夜景撮影でISO100のフィルムを充填すると、夜景専門カメラになってしまう。